母の体たんぱくを示す数値が下がっていて慌てました(総タンパク6.6/アルブミン3.9)。体内のたんぱく質が減るということは、同時にビタミンやミネラルといった栄養素も減ることを意味します。
父が亡くなって2カ月。細かい手続きやその他諸々のストレスが多くて、内蔵に負荷がかかっていたのでしょう。ガス(おなら)が異常に臭かったので、もっと早くに気付いてあげるべきでした(反省)。
ガス(おなら)や便(うんち)はニオイはどうですか?臭いとしたら慌てましょう。栄養不足が加速しているかもしれません。
おならやうんちは体のバロメーター
おならやうんちが臭いとなぜ栄養不足が加速するの?
ガス(おなら)や便(うんち)が臭くなる大きな理由は、たんぱく質の過剰摂取や消化不良が関係しています。
たんぱく質(アミノ酸)は体になくてはならない栄養素ですが、あるものがないと腸内環境を悪化させる悪玉菌の餌になってしまいます。
腸内の理想的な菌の割合は善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7で、本来ならばガス(おなら)や便(うんち)は臭くありません。ガスの種類はほぼ無臭の窒素が多く、その他に発生するガスの種類も二酸化炭素や水素といった匂いを発生しないガスだからです。
しかし、悪玉菌が優勢になると、硫化水素・アンモニア・インドール・スカトールなどが多く発生し、一気に腐敗したニオイを放つようになります。この状況を放っておくと、腸の細菌は体を弱らせる方向にかじを取ります。
ガス(おなら)や便(うんち)が臭いということは、食欲がいつもと変わらなくても、消化能力に問題が生じている可能性が高いです。消化能力に問題があると栄養を吸収しにくくなるので、栄養不足が加速してしまいます。
たんぱく質は減らすべき?
「悪玉菌の餌になるのであれば、たんぱく質を減らせばいい」と思うかもしれませんが、残念ながらこれは絶対にやってはいけないことです。

たんぱく質を分解する酵素であるペプシンやトリプシンなどを作り出すのはアミノ酸です。アミノ酸は食べたたんぱく質の最終分解産物なので、たんぱく質を減らすと消化能力はさらに落ちてしまいます。
たんぱく質の摂取方法に工夫をしながら、善玉菌を増やす食材を増やしていきましょう。たんぱく質はアミノ酸の状態で入れてあげることが第一選択です。
- ボーンブロス
- 魚の出汁
- 最終手段のアミノ酸サプリメント(BCAA、グルタミン、必須アミノ酸など)
ボーンブロスを作るのが大変であれば、袋で販売しているものを利用してもいいです。魚の出汁なら、かつお節やいわし節などをそろえておきましょう。みそ汁やスープを作る時にドバっと入れて一緒に飲んでしまえば、“出汁を取る”という行為が必要なくなります。
魚の骨を弱火で煮出して飲むのも意外と簡単です。ここに溶き卵でも入れると栄養価は高まりますね!
おならとうんちが臭くならない食習慣と生活習慣
腸内細菌のバランスが崩れる主な原因です。
- 強いストレス、長期間のストレス
- 偏食(糖質過剰、脂質過剰、たんぱく質過剰)
- 化学物質
- 抗生物質
- 睡眠不足
- 少ない咀嚼(そしゃく)回数
積極的なストレスマネジメントを
強いストレスは突然やってくるので避けられませんが、長期間のストレスは自分でコントロールできます。
ストレス状態では交感神経が優位になっているため、栄養の吸収や代謝がうまくいかないことが多く、食べても食べても元気になれないという悪循環が生まれてしまいます。放っておくと副腎疲労(※)を引き起こし、うつのような症状が出始めます。
ストレスマネジメントのやり方は人それぞれです。リラックスする方法をいくつかピックアップして、食事中や眠る時には副交感神経が優位になるように工夫しましょう。
参考までに……
私のリラックス方法は、
- 浴室の電気を消して入浴する(アロマキャンドルがある時は使用する)
- 好きな俳優が出ているドラマや映画を見る(真面目に見ないのがポイント!ただニタニタする。アクションものやサスペンスものは避ける)
- 好きな人と外食をする(リラックスしながらの楽しい食事はとっても大切!苦手な人との度重なる食事や孤食はNG。ただし、『孤独のグルメ』の井之頭五郎ばりに孤食を楽しめる人は問題なし)
- 眠る前に瞑想(めいそう)をする(AppleMusicにあるヒーリング系・瞑想(めいそう)系の音楽を10分聴きながら脳を浄化)
- 日中にファンクミュージックを流して部屋で踊る(誰にも見られないようにするのがポイント)
こんな感じです。
偏食をなくす
「自分は好き嫌いもなく、なんでも食べられるから問題なし」と思っている方も要注意!どれかに偏ってはいませんか?これは、自分で食べたものを書き出すか、画像として残しておかないと気付けません。
ここでいう偏食は、食材に対する好き嫌いの問題ではありません。好きな食材や食べやすい食材ばかりを食べてしまうことを意味します。
脂質だけに偏る人はめったに見かけませんが、糖質だけあるいはたんぱく質だけに偏る人は多いです。特に、動物性たんぱく質だけに偏るとガス(おなら)や便(うんち)は強烈なニオイを放ちます。
糖質に偏るよりは動物性たんぱく質に偏った方が栄養の観点からはいいのですが、しっかりと吸収させるためには善玉菌を増やす食材を増やしてください。
- 発酵食品(納豆、漬物など)
- 水溶性食物繊維、不溶性食物繊維(野菜、きのこ類、海藻類など)
- 善玉菌の餌になる糖質(オリゴ糖など)
SIBO(小腸内細菌増殖症)がある方は摂取方法に注意しなければなりませんが、「SIBOって何?」という方はまずは増やしてみましょう。これらも偏れば不調の原因になるので、満遍なく食べることをおすすめします。
食物繊維に関しては、動物性たんぱく質と同量(水溶性・不溶性のミックス)を摂取してください。難しい場合は、1週間のなかで上手にバランスを取りましょう。
体に悪影響を与える化学物質から遠ざかる
100%は難しいので、体に悪影響を与える化学物質からはできるだけ遠ざかるようにしましょう。
- 保存料、着色料、その他の添加物
- 不自然な調味料
- 殺菌剤・抗菌剤を使用した商品
など
保存料や殺菌剤などは、良い腸内細菌にも悪影響を及ぼします。できるだけ口にしない、吸い込まない、触らないなどの工夫をしましょう。
できることからで大丈夫です。せめて、口にするものだけでも気を付けてみませんか?
抗生物質の常用
抗生物質は、医師が処方するものとドラッグストアで購入できるものがあります。
問題になるのは、自己判断でドラッグストアにて購入する抗生物質です。飲み薬は症状が治まればやめる人が多いですが、塗り薬をまるでハンドクリームのように常用する人がいます。
抗生物質の目的は菌の繁殖を抑えることなので、使い続ければ体に害があるのは当然のことです。薬なので、必ず副作用はあります。
抗生物質は期間限定で使用するものです。常用しているのであれば今すぐにやめましょう。
睡眠の質を上げる
睡眠はただ長く眠ればいいというものではありません。短すぎるのは問題ですが、睡眠の質も睡眠不足に大きな影響を与えます。
- 寝覚めがスッキリしている
- 夢は見ない
- 疲れは残らない
理想の睡眠とは、このような睡眠を指します。
起床後はスッキリとした気持ちで活動ができていますか?ストレスがあったり、栄養不足が加速していたりすると、睡眠の質はグンと下がります。
ストレスマネジメントをしながら偏食を正すと睡眠の質はアップし、結果的に腸内環境の正常化にもつながります。
忘れてはいけない咀嚼(そしゃく)
食事をする時に、かむ回数を数えていますか?「最低でも30回くらいはかみましょう」と言われますが、胃腸が悪ければもっとかんでください。
食べたものは、口から食道を通ってすぐに胃に到達します。胃酸がたっぷりと出ている方は胃でしっかりと消化ができますが、ほとんどの方は胃酸が少ない状態です。胃で十分に消化できないと、肝臓や腸などに大きな負担がかかってしまいます。
胃腸が弱いと実感していなくても、ガス(おなら)や便(うんち)が臭いのであれば、咀嚼(そしゃく)の回数を増やしてください。
咀嚼(そしゃく)には歯の力も必要です。メンテナンスに行っていないのであれば、今すぐに歯科に行きましょう。口の中が不健康だと、体内の健康は保たれません。
私の場合は、栄養療法(オーソモレキュラー)を取り入れてたんぱく質の摂取を増やしたことで、1年後にはペプシノーゲンⅠが43.8⇒55.9と上がりました(現在は60台にまで上昇)。目指せ70以上なので、もう少し上がってほしいところですが……。ガス(おなら)や便(うんち)のニオイが無臭であれば30〜40回の咀嚼(そしゃく)を、臭いと感じた時には50回でも60回でも咀嚼(そしゃく)をします。ペプシノーゲンはピロリ菌がいると下がるので、詳しいピロリ菌検査をするかペプシノーゲンを測定してみてください。
この記事のまとめ
- ガス(おなら)や便(うんち)が臭くなるのは、体にとって最も重要な栄養素であるたんぱく質の仕業である。過剰摂取や消化不良により起こり、放っておくと悪玉菌が優勢になって病気になりやすくなる。
- たんぱく質はなくてはならない栄養素なので、ガス(おなら)や便(うんち)が臭くなる人はアミノ酸の状態で入れてあげることが大切である。食事ならボーンブロスや魚の出汁、サプリメントならプロテインよりもアミノ酸製剤(BCAA、グルタミン、必須アミノ酸)を選んだ方がよい。
- 腸内細菌のバランスが崩れないような食生活や生活習慣を心がける。「積極的なストレスマネジメント」「同じものばかりを食べる偏食を正す」「化学物質から身をまもる」「抗生物質の常用を避ける」「質の良い十分な睡眠を取る」「しっかりとかんで食べる」などが必要である。

『ウンチのうんちく』左巻建男 著
『改訂新版 栄養の教科書』中嶋洋子 監修
『のほほん解剖生理学』WEB玉塾塾長 玉先生 著/大和田潔 監修
『女性の不調は「冷え」が9割 子宮を温める食べ方があった』定真理子/桑島靖子 著
『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』溝口徹 著