天気痛の一つでもある“低気圧頭痛”に悩まされている方は本当に多いですね!でも、低気圧頭痛は特別なものではありません。食生活を変えるだけで、7割くらいの方が自分の体で対処できるようになります。
パートナーから聞かされるまでは、私は低気圧頭痛というものを知りませんでした。友人や知人からも「私もある」と聞くようになり、わりと身近にある話なのだと知りました。
食生活によって体質改善をするのはすぐに効果が出るものではありませんが、治したいと思うのであれば、最低でも3カ月は頑張ってみませんか?
食生活による低気圧頭痛の治し方
基本の食生活は低糖質高たんぱく質の食事です。
しかし、高糖質低たんぱく質の食事をしている方が食生活をガラッと変えると体調を悪化させる可能性が高いので、順序を考えて変えていく必要があります。
腸内環境の改善
低気圧頭痛をお持ちの方に共通するのが、腸内環境の悪さです。便秘や下痢などがある方は自覚症状があると思いますが、快便(1日に1回以上のバナナう○ち)の方だと気付けないという問題があります。
腸内環境を改善するのに重要なのが、何を食べるかよりも何を控えるかです。
- ご飯やパンが好き、肉や魚を受け付けないから炭水化物でカロリーを摂取している
- お菓子やアイスを少量でも毎日欠かさない
- ジュースや甘い飲み物が好き
- 乳製品を毎日摂取している
- 麺類が好き
- 和食は体にいいと思っている
- レトルト食品、冷凍食品、お総菜をよく食べる(添加物)
- 刺激の強いものが好き
- コーヒー、紅茶、お茶などのカフェインを朝から晩まで飲んでいる
- 好きなものしか食べない
- 毎日欠かさずに食べているものがある
- 野菜・肉・魚のどれかに偏っている
- 油を摂取すると太ると思っている
書き出すとキリがないのですが、食材の好き嫌いはともかくとして、偏食が腸内環境を悪化させます。
腸内環境が悪くなると、体に必要なたんぱく質・ミネラル・ビタミン類が十分に吸収されないため、脳に影響を及ぼします。
- グルテン(麦類に多く含まれるたんぱく質、調味料は要注意)
- カゼイン(乳製品に多く含まれるたんぱく質)
- 精製された砂糖
- 人工甘味料
- ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖など(調味料や甘いドリンクに多く含まれる)
- トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニングなど)
- 酒
- カフェインを含むもの
「無理だ!諦める」という声も聞こえてきそうですが、これらを最低でも2週間(可能であれば3週間)、徹底的に避けてみてください。おなかの調子が整って、ビックリするくらい頭がスッキリするはずです。喫煙中の方は禁煙も頑張ってください。
「お菓子はダメ!」「お酒はダメ!」「乳製品はダメ!」「カフェインはダメ!」と言われると、「そんな生活には耐えられない」という方がいますが、一生ダメだと言っているわけではありません。
もちろん、アレルギーのある方はやめるべきですが、口にする頻度の問題なので、うまく付き合う方法もあります(やめると体が楽になるので、戻りたいとは思わなくなるのも事実ですが)。
買い物をする時は必ず原材料名・成分表示をチェックしましょう。外食が多い方は肉・魚・卵をメインにしたおかずを選び、たれやソースは断るようにするといいですね。
砂糖は精製されていなければいいという問題でもないので、どうしても料理に使用する必要があればラカントSを使いましょう。用意するのが難しければ、未精製の砂糖や本みりんを少量だけ使うように心がけます。




胃の改善
腸内環境が悪い方の多くは、胃にも問題を抱えています。
胃酸が分泌されにくいため、食べたものが未消化のまま腸に到達し、腸内環境が悪化しやすいのです。そのため、体にとって必要な栄養素が吸収できず、頭痛を引き起こしやすい体になってしまいます。
- ピロリ菌がいる
- リラックスした状態で食事をしていない
- よくかまずに飲み込んでいる
- 常にストレスにさらされている
- たんぱく質を食べる量が少ない(動物性・植物性ともに)
- 冷たいものを好む
- 甘いものを好む
- 炭水化物の量が多い
- 胃薬が手放せない
ピロリ菌に関しては除菌の必要がありますが、それ以外は自分の努力で変えられることが多いです。
胃酸が分泌されにくい方は、食べる前に一工夫するだけでも胃の状態を変えていけます。酢の物やレモン水や梅干しといった酸味のあるものを用意し、最初に口にするようにしましょう。胃に負担をかけないためにも、最低でも30回以上はかむことを忘れないようにしてください。
仕事の合間に食べる食事はどうしてもリラックスして食べることはできないので、食べるものの選択肢が少ないのであれば、消化酵素を使用する必要もあります。栄養療法(オーソモレキュラー)であれば、胃腸に負担をかけない消化専用サプリメントも処方してもらえるので、気になる方は受診することをおすすめします。
小さな心がけをするだけで、体は面白いように変化していきます。若ければ若いほど変化が早いので、食生活の改善をするなら“今すぐ”をおすすめします。

胃腸に優しい偏食改善方法
胃腸を強くするにはたんぱく質が欠かせませんが、胃腸が悪い方は消化も吸収も期待ができません。むしろ、具合が悪くなってしまう場合もあります。そこで試していただきたいのがボーンブロスと魚介類の出汁です。
ボーンブロスや魚介類の出汁からは、たんぱく質の最終形態“アミノ酸”が摂取できます。胃の消化能力が弱い方でも、吸収しやすい形で腸に到達するので腸にダメージを与えません。
同時進行で摂取していただきたいのが青魚や鶏肉です。どちらも消化しやすい動物性たんぱく質なので、徐々に増やしていきましょう。理想は1食で両手に乗るくらいです(約200g)が、まずは手のひら1枚分を目指してください。
卵を食べる量も増やしましょう。1日に5個くらいまでは食べても問題ありません。ただし、毎日ではなく、1日置きもしくは週2くらいでお休みの日を作ってください。
上記で示した“絶対に避けるべきもの”と並行して、この食生活を2〜3週間は続けていくと、少しずつ胃腸の状態が変化していきます。
胃もたれを感じにくくなったら豚肉や牛肉の量を増やしていき、最終的にはヘム鉄や亜鉛の量が豊富な馬肉や羊肉やジビエ(カモ、シカ、イノシシなど)にも挑戦してみましょう。食べられる食材が増えると、料理や外食のメニュー選びに困ることがありません。
動物性たんぱく質が食べられるようになると、ミネラルやビタミン類(A、B群、D、E、Kなど)がまとめて摂取できます。心も体も元気になる栄養素がたっぷりなので、少しずつでも増やしていくことをおすすめします。
野菜・きのこ類・海草類に含まれる食物繊維も消化の助けになるので、肉・魚を食べる量が増えてきたら、同じように増やしていきましょう。
動物性たんぱく質がしっかりと食べられるようになったら炭水化物の量を減らしていき、エネルギーを脂質にシフトしていきます。
好き嫌いが多くて食べられる食材が限られる方は、良質なサプリメントを適切な量で補ってください。適切な量がわからない方は、栄養を勉強している医師に診てもらうのが一番です(※1)。


低気圧頭痛持ちの共通点
栄養療法(オーソモレキュラー)を知らない方(50名)にご協力いただき、いくつかご質問をさせていただきました。
それぞれに悩みは違うものの、共通点が見えてきたので、データとともにご紹介いたします。

低気圧頭痛と貧血
低気圧頭痛を頻繁に起こす方は、高い割合で貧血が考えられます。しかし、健康診断で指摘されないと自分に貧血があるとは思いませんよね?指摘されたことがある方の割合が以下の通りです。
約半分の方が貧血はないと診断されています。しかし、胃酸の分泌が弱かったりたんぱく質を食べる量が少なかったりすると、鉄の吸収が難しくなるため、鉄欠乏性の貧血である可能性が大です。
低気圧頭痛のない私ですが、栄養療法(オーソモレキュラー)による栄養解析をしてもらうまでは貧血はないと言われてきました。ところが、血液検査データであっさりと隠れ貧血が見つかりました。
2016年11月 | 2018年7月 | |
---|---|---|
ヘモグロビン | 14.3 | 14.4 |
血清鉄 | 88 | 81 |
UIBC | 265 | 233 |
MCV | 96 | 95.1 |
MCHC | 31.8 | 32.2 |
網状赤血球 | 16 | 11 |
フェリチン | 54.1 | 63 |
鉄欠乏を読み取れる人が見たら一発でわかる数値です(お恥ずかしい)。
通常の健康診断で測定するのは、ヘモグロビンと血清鉄くらいでしょうか。ちょっと詳しく検査して、MCVとMCHCを測定するくらいだと思います。でも、これで「貧血です」と言われることはありません。基準値に収まっているからです。

一見すると貧血はなさそうだけど、作られたばかりの赤血球がせっせと働かされ、決して質の良い状態とは言えないよ。体に貯蔵されている鉄も少ないから、鉄を乗っけていない輸送車が多いね。たんぱく質と鉄とビタミンB群とビタミンEは特にしっかりと摂取しよう!
こんな感じでしょうか。でも、女性はもっとひどい人がいます。生理や出産により、フェリチンが10未満という方も多いのです(※2)。鉄欠乏の女性が妊娠した場合は、赤ちゃんが鉄欠乏の状態で産まれてくるので、肌が弱かったり夜泣きがひどかったりと不調が多くなってしまいます。
鉄は1日に1mgずつ尿や便から排出されますが、女性はさらに生理の出血で30mgも排出されます。この他にも激しい運動・発育・妊娠などでも鉄の需要が高まるため、間違ったダイエットや偏った食生活をしていると鉄不足に陥ります。
本当に貧血はないのかを、しっかりと調べてもらいましょう。
低気圧頭痛と便の状態
便の状態は腸内環境と比例します。バナナ便の方でも腸内環境が良いとは言えないこともあるので、日頃から観察しておくことが必要です。
低気圧頭痛がある方の2/3は便の状態が良くありません。
においに関しては、ほとんどの方が「常に臭い」「たまに臭い」を選ばれています。
色は「黄色に近い茶色または茶色」が圧倒的に多かったです。便の色が「焦げ茶または黒」の場合は、便が留まっている時間が長いか、吸収されなかった鉄が排出されているか、消化管のどこかから出血しているかなどが考えられます。便が真っ黒の場合は、すぐに検査してもらいましょう。
「便秘気味」「常に軟便または下痢」「便秘と下痢と繰り返す」は腸内環境に問題があるのは確かなのですが、問題視しなければいけないのは「快便」の方です。
バナナのような便が毎日で快便だと思っていても、便のにおいが臭い場合は腸内細菌のバランスが取れていない可能性があります。浮いていなければ食物繊維が足りないですし、毎食後に出る方は栄養素を吸収できていない可能性が高いです。
「臭くない」「力まずに出る」「浮いている」「黄色に近い茶色または茶色」「バナナのような形で表面がツルッとしている」が理想の便なので、このような便が出るように食生活を変える必要があります。また、ストレスでもバランスは崩れるので、ストレスに強い体を作るためにも食生活の見直しは必要です。
以前の私は1日に2,3回のバナナ便が出ていました。今は、起床後に排尿と同時に茶色のバナナ便が出ます。においは無臭です。ただし、大きなストレスがかかると、便の状態が変わるので(ひどいと臭いおならが出る)、食事内容の見直しや睡眠時間の確保を行います。
低気圧頭痛と慢性頭痛
低気圧頭痛の他に、慢性的な頭痛がないかもお答えいただきました。
7割弱の方が慢性頭痛を持っています。
くも膜下出血や脳腫瘍などの命に危険を及ぼす病気が引き起こす頭痛もあるので、慢性頭痛は軽視できません。しかし、食生活の見直しで頭痛と無縁になれる可能性も高いので、普段の食事を見直すことをおすすめします。
糖質が過剰になっていませんか?低血糖を引き起こしている可能性が大です。血糖値を上げるためにアドレナリンやノルアドレナリンといった興奮系のホルモンが分泌されると、めまいや頭痛を引き起こします。
ストレスがかかった時も同じ状況に陥るため、ストレスが多い方は要注意です。人によっては運動後に頭痛を引き起こすこともあります。
副腎疲労があって自分ではホルモンが出せなくなっている場合は、コーヒーやチョコレートなどに含まれるカフェインを好んで口にするようになり、これが引き金となって頭痛を引き起こします。
私がうつ病と診断される前は、不二家のピーナッツチョコレートを毎日1袋食べていました。チョコレートは好物でも何でもなかったのに、この時は食べないと自分が保てなかったのです。当時は頭痛も頻繁に起きていました。
低気圧頭痛は治せる
低気圧頭痛に悩まされている方に多いのが、頭痛が始まって耐えきれなくなってから市販の鎮痛剤を服用するというものです。病院で薬をもらっている方も多いですね。
しかし、これでは治したことにはなりません。薬は対症療法のひとつなので、その場しのぎにしかならないのです。薬を常用すれば腸内環境は悪化しますし、副作用によって食欲不振を起こしたりさらなる頭痛を引き起こしたりして、消化管の機能をどんどん悪化させてしまいます。
消化機能が悪化すると大きな病気の引き金になってしまうので、徐々に薬に頼らない生活にシフトしていくことが大切です。でも、実際に治せる医師がどこにいるかわからないから、我慢しているという方も多いでしょう。
実際に、「低気圧頭痛を治したいと思いますか?」と質問したところ、諦めている方が2/3を占めました。
諦めている方に「治せるものなら治したいと思いますか?」と質問したところ、9割の方が治したいと答えています。
まずは食生活を変えてみましょう。“胃腸に優しい偏食改善方法”を試してみて全く改善しなければ、やり方が間違っているか他の問題が潜んでいるかのどちらかです。その時は、栄養療法(オーソモレキュラー)を取り入れている医師や栄養カウンセラーの助けを借りましょう。
この記事のまとめ
- 低気圧頭痛を食生活で治すには、腸内環境の改善・胃の改善・偏食の改善が必須である。
- 腸内環境を整えるには、何を食べるかよりも何を控えるかを重要視する。
- 胃の環境を整えるには、胃酸を分泌させやすい酸味のある料理や飲み物を利用し、リラックスして食事をすることが重要である。
- 低糖質高たんぱく食を実施する前に、ボーンブロスや魚介類の出汁を積極的に摂取しながら、たんぱく質を消化できる胃腸に整えることが大切である。
