女性だけが料理するのは決して当たり前ではありません。「できて当たり前」と思われるのも違うと思います。でも、女性は“当たり前に”料理ができた方が絶対にいいです。その理由は、子供を産めるのは女性だけだから!
「?」と思われるかもしれませんが、出産は女性にしかできないミッションなので、料理ができないと“ヤバイ”ことになってしまうのです。
※文中に下手なイラストが差し込まれていますがご了承ください。
女性が料理できないと将来的に苦しむことになる
不妊・不育症の原因に
女性には月経があるので鉄欠乏(貧血とは別)です。鉄は動物性たんぱく質に多く含まれるため、鉄欠乏はたんぱく質やその他の栄養素の欠乏を意味します。
体を構成する成分の中で、水分の次に多いのがたんぱく質。つまり、女性は妊娠する以前から栄養不足と考えて問題ありません。
男性と同じように働く女性が多くなりましたが、同じストレスを浴びても女性の方がダメージは大きいです(月経で血液が大量に流れていってしまうため)。料理をしていれば少しは栄養バランスを考えるので、ストレスに打ち勝つくらいの体作りはできます。
しかし、今はコンビニエンスストアでもスーパーでも手軽にお総菜が購入できる時代です。心を満たしてくれるスイーツやパンも豊富。料理ができなくても、食べることには困りません。でも、それが後に自分を苦しめるかもしれないと考えたことはあるでしょうか。
不妊の原因は男女ともにあります。女性はもともと栄養不足ですから、男性にも問題があれば妊娠から遠ざかります。
妊娠をするためにはどんな栄養が必要なのか、妊娠を継続するにはどれだけの栄養が必要なのかを知っていないと、「なかなか子供ができない」「妊娠しても流産や死産を繰り返す」といったストレスと闘うことになるのです。
不妊や不育症によるストレスは、体から新たに栄養を奪っていきます。料理をする気力が残っていればいいですが、副腎疲労によってその気力すら奪われる可能性も高いので、悪循環に見舞われます。
栄養不足でも、20代前半なら妊娠できる可能性は高いです。しかし、「キャリアを積みたい」「遊びたい」と自分の気持ちを優先し、料理(=栄養)の大切さに気付かずに30代を迎えてしまうと、その分だけ栄養不足も進みます。
結婚後は男性が料理を100%担当しても構いません。しかし、栄養はそれまでの積み重ねでもあるので、結婚前に食事の大切さに気付いていないと不妊や不育症の引き金になってしまいます。

妊娠中のトラブル
妊娠中はつわりや妊娠糖尿病などのさまざまなトラブルに見舞われます。
その中でも多くの妊婦が経験するつわり。ひどい方だと入院を余儀なくされることもあります。
つわりが起こるのは当たり前だと思っている方が圧倒的に多いですが、実はこれも栄養不足が関係しています。決して赤ちゃんが元気な証拠ではないのです。
妊娠期のつわり予防やメンタル安定剤として働くのがビタミンB群。その中でもビタミンB6はつわりの軽減に役立ちます。ビタミンB6をはじめとするビタミンB群を多く含むのはレバーや赤身肉や魚介類です。
しかし、つわりが始まってしまうと、これらを口にできない人が多いのも事実。だからこそ、妊娠するよりもずっと前にその大切さに気付くことが大切なのです。
体の中ではこのようなことが起こっており、本来ならば妊娠中に必要な栄養素を含む食事をすれば解決するものが、実際は体が受け付けない状態になってしまうのです。
赤ちゃんは約10カ月で数ミリから50cmくらいまで成長をします。人が生きている中で最も成長しているということです。
思春期の男子に恐ろしいほどの食欲があるのは誰もがご存じでしょう。あれ以上の食欲が胎児にはあり、母体から栄養素を必死に得ようとしていることを考えれば、女性が食事を疎かにすることがどれだけ母体と赤ちゃんにダメージを与えるかは想像しやすいはずです。
妊娠前から栄養不足が加速していると、妊娠中はさらなる栄養不足を招きます。母体が栄養不足でも赤ちゃんは決められた期間で成長していかなければならないので、妊娠中のトラブルがたくさん発生するのです。
出産後の体調不良
妊娠前の体が栄養不足で妊娠・出産を終えると、さらに栄養状態はマイナスになってしまいます。
出産後に体調を崩しやすいのは、ある意味では栄養素が少ない抜け殻のようなものだからです。しかし、出産後は休んでいる暇がありません。授乳もしなければいけないので、栄養不足に拍車をかけるのです。
しつこいようですが、ターンオーバーの早い20代なら時間を掛けずに回復が見込めます。ところが、今は30代での初産が多いので、回復までに時間がかかるのです。
産後の体調不良が長引くと、イライラしたり、やる気が出なかったり、夫との関係がうまくいかなくなったり……。そんな状態でもすぐに職場復帰を望む人も多いので、栄養不足は加速していくのです。
大抵の方は2人目も考えると思いますが、ここで運命が分かれます。
妊娠前の栄養がギリギリの状態で1人目を出産した方は、2人目不妊に悩まされます。2人目を授かったとしても、十分な栄養状態ではないまま出産をしてしまうと、2人目の出産後に今までなかった症状(頭痛、めまい、便秘、下痢など)が出やすくなります。
子供の成長に問題が多発
子供の成長に何らかの問題が発生するのは、妊娠期のお母さんの栄養不足が関係しています(遺伝を除く)。
- 花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー体質
- 発達障害(もしくはグレーゾーン)
- うつ状態(理由なき不登校に発展しやすい)
など
胎児はお母さんの栄養だけで育つため、母体の栄養状態に左右されます。また、ミトコンドリア(エネルギー、ミトコンドリアDNA)や腸内細菌は母親から受け継ぐため、子供の成長を大きく左右します。
子供の成長時に起こる問題は母親の栄養状態だけが原因ではありません。しかし、妊娠前から栄養状態を整えておくだけでもある程度の問題回避はできるのです。

肌と髪の老化が加速
経産婦は1人の出産ごとに栄養が減っていくため、出産した年齢が高ければ高いほど体の老化が激しいです。
体が老化すると、心臓や脳などの生死に関わる臓器を守ることが先決になるため、生死と関わりが薄い部分から衰えていきます。
目に見える部分では肌(皮膚)と髪。肌の表面にしわやたるみができても、髪に艶がなくなったり抜けたりしても死に至ることはないため、肌のお手入れに時間が割けるようになった途端に老けたと感じる人も多いです。
産後に栄養の大切さに気付ければこの状態も回避できますが、家事・育児・仕事に追われて自分のケアが後回しになっていると、老化の加速にあぜんとすることになってしまいます。
肌や髪の老化は体内が危険にさらされているシグナルでもありますから、同世代の人と比べて老け方が早いと感じた場合は、何かの病気の前触れであることも多いです。ようやく子育てが一段落した頃に闘病生活に突入することにもなりかねません。
女性が料理することと栄養の大切さになんの因果関係が?
ここまで読まれて、「だから、なんで女性が料理するのが当たり前なのか?」と思われているかもしれません。
実は、若い頃の私は「なぜ女性が料理するのは当たり前なのか?」「男性が作ったっていいじゃないか!」「料理が女の仕事だと思っている男とは結婚できない!」などと思っていました。
このように考えていたのは、単純に料理が苦手だったからです。当然のことながら、食べているものが自分の心身を作っているなんて考えもしませんでした。学校で栄養学を学び、高齢者の介護をしていたにもかかわらず!
今でも料理に対して苦手意識(面倒臭さ)は感じていますが、人並みには作れるようになりました。自分の体調は自分にしか分からないから、体が何を必要としているかを考えられるようになり、人任せにはできないと思っているからです。
余程のことがない限りは、結婚をしたら愛する夫の子供は産みたいと思うのが女性だと思います。それなのに、妊娠を計画した時に不妊で悩んだり、不育症で悩んだりするのは悲しいことです。
自分の健康状態を人任せにしてはいけないと後で気付いても、過去には絶対に戻れません。そこで栄養の大切さに気付いても、体が妊娠に適した体になるまでにはお金も時間もかかります。
上述したように、子供の心身にも影響を及ぼすため、栄養を十分に満たす料理が当たり前にできることは子育てのしやすさにもつながります。
できないこともあるし、できても育たないこともある。
無事に産まれてきても、子育てが難しい状況に陥ることもある。
女性の高齢者が長生きなのは、早く子供を産んだからではないのかなと推測します。
身体への負担が違うから。— あんどうちえ(食育アドバイザー) (@ortho_c25) February 8, 2019
料理をするということは、体にとって必要な栄養素を考えるということです。見栄えの良いおしゃれな料理を作るということではありません。
少しでも栄養がマイナスに傾かないような料理を作れることは自分自身の未来につながるので、女性は“当たり前に”料理ができないと結果的に自分を追い込むことになるのです。
お金に余裕があれば、管理栄養士のいる家事代行サービスで料理を頼むという方法もあります。ただし、家事代行サービス業者で働く管理栄養士にどこまでの知識があるのかは千差万別なのでなんともいえません。
この記事のまとめ
- 料理をしなくても生きていける時代だが、何も考えずに食事をしていると、出産を考えた時に不妊や不育症に悩まされる。
- 妊娠中に多い体調のトラブルは、妊娠前の栄養素が大きく関係している。できるだけ穏やかな妊娠期を過ごすためには、妊娠以前から食事の大切さに気付く必要がある。
- 出産後の体調不良や2人目不妊などは、妊娠前の栄養に左右される。1人目では何も変化がなかった人でも、2人目の出産で体調不良に陥ることも多い。
- 母体の栄養は、子供の成長に大きな関わりを持つ。
- 出産自体が体内の老化を招くため、高齢出産や出産後の栄養状態によって見た目の老化が変化する。大きな病気になる場合もある。
- 料理=体に必要な栄養素を考える。人任せにしていると、「後悔先に立たず」という事態に陥る可能性が高い。
『栄養の教科書 改訂新版』中嶋洋子 監修
『卵子の老化に負けない「妊娠体質」に変わる栄養セラピー』古賀文敏/定真理子 著
『花粉症は1週間で治る!』 溝口徹 著
『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹 著
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『きれいな肌をつくるなら赤いお肉を食べなさい』柴亜伊子 著
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