栄養療法(オーソモレキュラー)は嘘か? 問題点を5つ挙げてみた

昼間の貴重なお時間にご訪問いただき、誠にありがとうございます。食育アドバイザーのちえ(@funky_nutrients_c25)です。

かつて、私が傾倒していた栄養療法(オーソモレキュラー、分子栄養学など)。栄養で治療の底上げをするという考え方は非常にいいのですが、問題点も多くあります。

もし迷われているなら、陰の部分も知った上で治療の選択をしてみてください。

過去記事『栄養療法(オーソモレキュラー)のデメリットを5つ挙げてみた』を書き換えた新記事です。

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栄養療法は半分ウソ

栄養療法には、オーソモレキュラーや分子栄養学といった言い方もあってややこしいので、以下は栄養療法に統一します。

まず、ウソかホントかという捉え方をすると、半分はウソということがいえます。

栄養を満たせば「病気が治る」「健康を保てる」というのであればウソ

病気の原因は栄養の不足だけではありません。どんなに栄養を補給しても、体が受け入れてくれなければ自力で治す力は生まれないのです。反対に、栄養に気を付けていても病気になるリスクはあります。

栄養療法は標準治療ではないので、情報収集はインターネットからでしょう。病気が治ったという人たちの声は大きく聞こえますが、日本の人口比率でいえばほんの一握りに過ぎません。

栄養だけでは全く良くならない人もいて、そういう方たちの声は目立ちにくいので、栄養療法を取り入れるかどうかは慎重な判断が必要です。

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栄養療法の問題点

栄養ビジネスになっている点

調べてもらえば分かると思いますが、栄養療法にはいくつかの派閥があります。

  • 栄養療法
  • オーソモレキュラー
  • オーソモレキュラー医学療法
  • 分子整合栄養医学
  • 分子栄養学

医師によってアプローチ方法や考え方は違えど、基本は「細胞レベルで最適な濃度の栄養素を補いながら、自己治癒力を高めて病態改善を行う治療法」といわれています。

一般的な治療を底上げするために栄養の指導を取り入れるなら問題ないと思いますが、度を超えた栄養ビジネスになっている点が問題です。

派閥だけではなく、栄養療法の考え方を悪用してビジネスをしている医師や(カウンセラーという名の)信者もいるので注意が必要です。

栄養だけでは良くならない点に注目して、心理学の観点からのアプローチに重きを置き始めている団体もあります。クライアントをカウンセリングビジネスに誘導し、自分たちでセミナーなどを開催しあってお金を回している状態が見受けられます。

セミナービジネスになっている点

セミナービジネスには二つの問題があります。「洗脳」と「治療を終えた元患者の引き止め」です。

まずは洗脳についてですが、栄養療法に限らず、クローズドの場で語られると人の脳は非常に洗脳されやすいです(私もハマったわな)。

セミナーに参加する人は皆が同じ志を持っています。客観的に見ればほころびも多いのに、それに気付きにくい環境です。登壇する医師の話も面白いですしね。

何度も通っているうちに、一般的な医療の話がうその情報に思えてきます。

冷静になって考えてみると、伝える側の医師は新しい情報に飛び付くのが早く、論文や情報の切り取り方が上手です。1年前に聞いた情報が既に古くなっていることもしばしば。

セミナーの受け手には刺激が強くて面白いですが、現場ではやり方が微妙に変化するので、現在進行系で栄養療法を受けている人にははた迷惑な話です。

「栄養療法にはエビデンスがない」といわれてしまうのは、こういった点にあるのではと踏んでいます。医療はたくさんのデータを集めながら長期スパンで変化していくものなのに、短期スパンで変化していくなら信用できないといわれても仕方がありません。

もう一点の「元患者の引き止め」はそのままの意味です。普通は治療を終えたらいったんは医療との関わりがなくなりますが、それでは自由診療のクリニックはもうけがなくなります。そこで栄養療法を宣伝する人を作るのです。

苦しい状態を救ってもらったら、同じようにつらい思いをしている人に勧めたいと思う人が出てきてもおかしくはありません。その心理を利用してさまざまなセミナービジネスに誘導し、新たな患者を獲得していく仕組みができています(形は違えど、どこも似たり寄ったり)。

手口は新興宗教やマルチ商法などと同じです。

サプリメント頼りになっている点

“患者が”というよりは医師・クリニックのスタッフ・元患者が、治療の必要もないのにサプリメントに頼っている点は大きな問題です。

「薬に頼りたくない」というのは誰もが考えていることです。だからこそ、標準治療では症状が良くなったら薬とは無縁になります。

ところが、食事だけでは栄養が不足しがちという考えのもとで、「美容のため」「解毒を促すため」「やる気を保つため」「精神安定のため」などに常用している人が多いです。治療が終わったはずの元患者もなぜか使用を続けています。

食事だけでは足りない栄養素を補給するというのは決して悪いことではありませんが、それを「○○な人は△△が不足している」「こういう時には□□を使うと良い」などと広めているのもおかしな話です。

食材からの栄養摂取量が限られていても、薬にもサプリメントにも頼らずにほどほどの元気でいられるのが人間の本来の姿でしょう。

高齢者の多剤服用が問題視されている現代で、多量のサプリメントに頼らなければ健康を保てないとなれば本末転倒。サプリメントをやめると何かしらの症状が出てしまうのだとしたら、それは健康な状態ではありません。

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完治・寛解をしていない人が多い点

医師でもない私が断言するのもいかがなものかと思いますが……(あくまでも個人的な見解)。

少しばかり栄養を怠ることで症状が悪化したり、気圧病に悩まされたり、自己肯定感が低くなったり、認知のゆがみがひどくなったり……(完治・寛解していないからですが)。これ以上は何も書きませんのでお察しください。

病気が完治・寛解となれば、次に何かを発症するまでは医療とは関わらないのが一般的です(前述通り)。ところが、栄養療法で治療を終えた人はなぜか布教活動をしています。

栄養療法を選択する人の多くは、標準治療ではなかなか症状が良くならないという特徴があります。症状が治まって健康を取り戻したのであれば、栄養療法とは無縁になって社会活動をするでしょう。それなのに広める活動を主としている人が多いのです。これは「一般社会に戻れたとはとてもいい難い」と受け取ってもいいでしょう。

素人が診察・栄養指導をしている点

素人といっても、医師以外の国家資格(歯科医師、看護師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士など)を持っている人もいれば、民間資格でビジネスをしている人までさまざまです。

個人でカウンセリング(話を聞く)をすること自体は問題になりませんが、問診・血液検査データのチェック・症状に合わせたサプリメントの推奨・触診などをしてしまうのは大問題です。

これらは医業に当たるため、医師法第十七条の違反ということになり、医師の資格がなくても罰せられます。

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十七条の規定に違反した者

医師法

また、管理栄養士以外の人が、似たような名称で傷病者に対する栄養指導等を行うことも栄養士法の違反です。

第八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第五条第一項の規定により栄養士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、栄養士の名称を使用して第一条第一項に規定する業務を行つたもの

二 第五条第二項の規定により管理栄養士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、管理栄養士の名称を使用して第一条第二項に規定する業務を行つたもの

三 第六条第一項の規定に違反して、栄養士又はこれに類似する名称を用いて第一条第一項に規定する業務を行つた者

四 第六条第二項の規定に違反して、管理栄養士又はこれに類似する名称を用いて第一条第二項に規定する業務を行つた者

栄養士法

精神疾患や難治性の疾患などを抱えている場合は、冷静な判断ができなくなっています。医師並みの知識があって、自分の心と体を救ってくれそうな人に的確なアドバイスをしてもらえたら、それ自体が正しいと感じてしまうのも無理はありません。

しかし、そこは冷静な判断ができる人に委ねてください。大金をはたいてカウンセリングを受ける必要があるのかどうかを。カウンセリング+栄養療法となれば莫大(ばくだい)な金額がかかります。

保険診療なら3割負担ですし、精神疾患を患っている場合は自立支援医療制度が利用できるので、ほとんど負担がありません(収入による)。薬漬けが嫌なら、セカンドオピニオンでいい医師を探してください。つらい時に大変ですが、自分のためでもあるので。

この記事のまとめ

科学的根拠に乏しいとはいえ、栄養療法は違法ではありません。

しかし、5つの問題点「栄養ビジネスになっている点」「セミナービジネスになっている点」「サプリメント頼りになっている点」「完治・寛解をしていない人が多い点」「素人が診察をしている点」はしっかりと頭に入れておく必要があります。

SNSやブログの記事、あるいは何かのきっかけで訪れたセミナーで心を動かされた時は、必ず第三者に意見を求めましょう。自分で選んだ情報だと負の側面は目に入りにくいので、今以上につらい思いを強いられる可能性があります。

栄養療法を選択してもしなくても、治療期間が長くなることは避けられません。死に至る可能性のある病気に関しては病状を悪化させることもあるので、デメリットを語る体験談を読むようにしてください。

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