当サイトでおすすめしている栄養療法(オーソモレキュラー)ですが、実際に自分が取り入れてみて感じる大きなデメリットを挙げてみました。
栄養療法(オーソモレキュラー)をやっているからこそ陥ってしまう問題点でもあります。メリットもたくさんあるので、迷われている方は参考にしてみてください。
※自戒の意味も込めているので、キツい言葉になっている文章は私に向けていると思ってください。
栄養療法(オーソモレキュラー)のデメリット
サプリメントに頼ってしまう
栄養療法(オーソモレキュラー)で何かの病気や症状を治療中の方は、食事だけでは栄養が不足してしまうので、サプリメントの力に頼らなければいけな部分があります。
問題は、治療を終えた方や栄養カウンセラー、独学で血液検査もせずになんちゃって栄養療法(オーソモレキュラー)をやっている人たちです。各栄養素の不足がどんな症状を引き起こすかが頭に入っているので、「栄養(サプリメント)を足しておこう」と脳が勝手に変換します。
食材から摂取できる栄養素は限られており、食べられる量も限られているので、欠乏しやすい栄養素をサプリメントで補うのは悪いことではありません。しかし、食材からの栄養摂取量が限られていても、食事だけである程度の健康を保てることが人間の自然な生き方です。
高齢者の多剤服用が問題視されている現代で、多量のサプリメントを飲まなければやっていられないとなれば本末転倒。サプリメントをやめると何かしらの症状が出てしまうのだとしたら、それは健康な状態ではありません。
健康長寿の方々は、サプリメントを摂取しているから健康を保てているわけではないのです。
彼らは栄養を吸収できる腸内環境が整っているからこその健康長寿なわけで、同じ食生活をまねしても誰もが健康を保てるわけではありません。だからといって、不足した栄養素を食事で補おうとせずにサプリメントに頼ってしまうのは、栄養療法(オーソモレキュラー)の落とし穴だなと考えます。
栄養素が吸収できない原因を探り、それを排除することがとても重要です。サプリメントがあれば強いストレスがあっても耐えられるとか、炎症を起こしやすい食生活や生活習慣を続けながら栄養素で相殺するなどしていると、いつまでたっても本来の健康を取り戻せません。
栄養療法(オーソモレキュラー)は一つの治療法にすぎません。薬にもサプリメントにも頼らずに元気でいられる食生活と生活習慣を身に付けるのが最終目的です。
医師の信者もしくは意見に左右される
栄養療法(オーソモレキュラー)を実践している医師にはいくつかの派閥があるように見受けられます。
- 栄養療法
- オーソモレキュラー
- オーソモレキュラー医学療法
- 分子整合栄養医学
- 分子栄養学
(正直なところ、一つに絞ってほしい(笑))
医師によってアプローチ方法や考え方は違えど、基本は細胞レベルで最適な濃度の栄養素を補いながら自己治癒力を高めて病態改善を行う治療法です。
治療中であってもそうではなくても、医師の考えに振り回されてはいけません。「あの医師が言っていることは正しい」。それは間違いです。どの医師も間違いではないし、どの医師も正解ではありません。
一人の医師や派閥の信者になってしまうと、自分自身や大切な人を傷つける可能性が高いです。また、いろいろな医師の考え方に左右されるのも、結局は自分自身や大切な人を傷つけます。
一番正しいのは自分の体感。100人中99人がその方法で快方に向かっても、たった1人だけは合わない場合もあるのです(栄養素を吸収できない問題が起きている)。信者になったり意見に左右されたりしてしまうと、間違った方向に向かっていても気付けなくなります。
これは元気を取り戻した人に必要な方法ですが、「これを続けることのデメリットはないのか?」と疑問を持つことが大切です。そこから一歩先に進むことで、大きな学びにつながります。
お金と時間がかかる
栄養療法(オーソモレキュラー)は自由診療です。
基本は血液検査による栄養解析とサプリメント(場合によっては薬も使用)と栄養指導で治療を行いますが、素直に栄養素が吸収できない腸にこじれていると検査費用が莫大(ばくだい)になってしまいます。
また、医師によっては医療用のサプリメントのみを使用することがあるため、必要な栄養素を全て購入できない人もいるでしょう。
治療期間がどれくらいになるのか。治療費はどれくらいかかるのか。決めるのは患者さん自身ですが、中途半端に終わらせてしまうとなんの変化も感じられないまま病気や症状に悩まされることになるのです。
予防医療はこれからの軸になっていくと思います。本来ならば全ての人に開かれた医療であるべきだと考えますが、現状ではそうなっていないところが問題です。
栄養療法(オーソモレキュラー)の基本は食事ですが、どこまで徹底するかにもかかっています。
近所のスーパーで食材を調達するのと、体に安全なこだわり食材を調達するのでは、金銭的な負担が大きく変わってしまいます。仮に、とことんこだわるとしても、金銭的に続かなければストレスにもなりかねません。
ストレスは栄養素の吸収を妨げる原因の一つなので、食事がストレスになっては元も子もないのです。
また、「控えましょう」「食べるのはやめましょう」と言われても、続けられない人もいます。説明されても理解できないほど体が疲弊しているからです。
今までにこじらせてきた分だけお金も時間もかかりますが、そこをどう乗り越えるかは人によって考え方が違うため、挫折してしまった場合はそれまでの努力が水の泡になってしまいます。
協力者がいないと続けにくい
上述したお金の問題にも関わってくるのですが、働けない状態で栄養療法(オーソモレキュラー)を続ける場合は金銭的な協力者が必要です。
栄養面でも同様のことがいえます。例えば、頭が回転しない状態ではまともな食材選びも料理もできないという壁に突き当たるのです。
親や夫や妻や子供。家族のどなたかが協力してくれれば「ゆるりとでも続けよう」と思えるでしょうが、たった1人で続けるのは至難の業です。
小さな不調を感じている人が勉強しながら続けるのと、大きな問題を抱えた状態で勉強をしながら続けるのは意味が違います。勉強をしている間も、栄養は奪われていきますからね……。
「頭では理解している。でも、疲れちゃった」。こういう人も必ずいます。
※栄養療法(オーソモレキュラー)は一つの対症療法にすぎません。理論的には正しくても、これ自体がストレスになるなら、他の方法を模索した方がいい場合もあります。
完治はしない
医師でもない私が断言するのもいかがなものかと思いますが……(あくまでも個人的な見解)。
これは栄養療法(オーソモレキュラー)に限ったことではなく、どんな治療であっても病気や症状の完治はないと考えています。寛解する(症状が安定している状態)だけです。
病気や症状が完全に消えるという意味で完治といわれていますが、そう言い切れることはないでしょう。
私を例にしてお話しします。うつ病にかかった頃の食事や生活習慣はひどいものでした。
これだけでもカロリーや栄養が足りていないのがお分かりでしょう。こんな食生活なのに、休みの日はスキューバダイビングに明け暮れていました。時間を見つけては、いろいろな講習会に参加して勉強もしていました。
当時は日勤・夕勤(朝と昼の2食だけ)・夜勤の3交替で、休みが少なかったこともあり、夜勤明けに伊豆や伊豆大島まで出かけることもしばしば(都内在住)。
車移動をしながら在宅介護をしていたので、夜勤や早朝出勤がある時は眠○打破が手放せませんでした。あの頃にタイムスリップができるなら、「それを飲むのは止めておけ!」と言ってあげたいです(笑)。
20代だから続けられましたが、転職を機にぶっ壊れました。ガソリンが不足した車が走り続けているようなものですから。
今はこの頃とは違い、体に必要な食材をよく食べてよく寝ます。しかし、当時の食事や生活を再び取り入れたらすぐに逆戻りします。年齢もだいぶ上がったので、もっとひどい状態に陥るでしょう。
「喉元過ぎれば……」。このようなタイプの人もいますが、ほとんどの人は病気でどん底を味わうと「戻りたくない」と考えます。
栄養療法(オーソモレキュラー)を治療として続けなくても、脳ではブレーキがかかってむちゃをすることはなくなるため、寛解の状態がエンドレスに続いていくだけだと考えます(くどいですが個人的な見解)。
この記事のまとめ
栄養療法(オーソモレキュラー)は夢のような治療法ではありません。つらい病気や症状を抱える人が、どうしてもその状態から脱したい時に自ら選んで進めていく治療です。
そのためには勉強も必要ですし、医師やカウンセラー任せにはできない部分も出てきます。周囲に理解してもらえないことも多いので、心が揺らいでしまうと良くならないなんてことも……。
しかし、メリットもたくさんあります。食生活や自分の体内で起こっている吸収障害を見直すことで、病気・けがなどに強くなれるのです。
栄養療法(オーソモレキュラー)の思考が身に付くと、検診の血液検査データを見て振り返りができるようになります。現状で抱えているストレス・生活習慣・食事に目が向くため、何をどうリカバリーすればいいのかを考えられるようになるのです。
服薬が必要な一般的な治療においても、自己治癒力を高められているので、薬の副作用に振り回されることが少なくなります。
栄養療法(オーソモレキュラー)をやってみようと思う方は、基本的に根が真面目です(だから病気になりやすい)。治療を継続するにしても断念するにしても、ゆるくでもいいから考え方を生活に取り入れると、落ち込んだり人の言動に振り回されたりすることは少なくなります。
デメリットのない治療はないと思うので、自分にとってメリットが勝ると思うなら続ける価値がある治療法です。