近年の酷暑は、どんなに夏が好きな人でも耐え難い暑さになっています。体温を超える日は食欲を失うこともしばしばです。
そうめんに、冷やし中華に、ジュースに、かき氷に、アイスクリームに、ビール……。暑い日にはどうしても冷たいものや甘いものを食べたくなります。
一時的に体温が下がるため、食後は幸せな気分になれますが、体は悲鳴を上げてしまいます(夏バテのもと)。
夏バテをせずに酷暑を乗り越えるには、夏に美味しい食べ物や飲み物はほどほどにして、まずは胃腸を守る食事を心掛けたいものです。
夏バテしない! 酷暑を乗り越える食べ物6選
みそ汁・スープ
「夏は食欲がわかなくなる」という方におすすめなのがみそ汁とスープです。水分補給と塩分補給ができる上に、食材がやわらかくなって食べやすいので、何も食べたくないという日でも消化への負担が少なくて済みます。
最もおすすめなのはみそ汁です。かつお節や煮干しなどで出汁を取れば、しっかりとアミノ酸(たんぱく質の最小単位)が摂取できるので元気のもとが簡単に作れます。
出汁を取るのが面倒なら、だしパックや出汁粉を利用してください。
スープを作る時は昆布出汁を使うといいですね。洋風でも和風でも、昆布出汁がいいお仕事をしてくれます。
肉・魚・貝類のどれかを入れるようにして、野菜や海藻類もたっぷりと煮込みましょう。面倒であれば、卵スープでもいいですね。
みそ汁やスープを飲むと体内が温まるので、消化能力も上がりやすくなります。
鶏肉、白身魚、あさり、豆腐、オクラ(刻んで入れると良い)、ブロッコリー、トマト、わかめ、もずく、寒天など
※塩分の取り過ぎは避けたいので、具をたっぷりにする工夫が必要です。
酢の物
冷たい食べ物になってしまいますが、食欲が減退している方にはおすすめの食べ物です。酸味は胃酸の分泌を促してくれるので、最初に食べることをおすすめします。
きゅうり・タコ・わかめの酢の物は我が家の定番です。酢の物は意外と食材を選ばないので、野菜とたんぱく質を上手に組み合わせて、夏バテの回復に努めましょう。
鶏肉、じゃこ、しらす、タコ、青魚の酢じめ、海藻類、貝類、オクラ、キュウリ、切り干し大根、もやしなど
※酸味で胸焼けを起こしやすい方は、出汁を多めに入れるなどの工夫をしてみましょう。
梅を使った料理
梅にはクエン酸がたっぷりと含まれているので、夏バテの回復にピッタリです。面倒でなければ、梅雨時期に梅を購入して梅ジュースを仕込んでおきましょう。
梅ジュースを炭酸水で割ったり、ゼラチンや寒天で固めてゼリーにしたりすれば、だるくて何も食べられないという時でも復活が早まります。
料理が好きな方には梅干し作りをおすすめします。梅干しを作るのが面倒な場合は、塩だけで作られた梅干しを購入しましょう。
塩だけで作られた梅干しはそのままで食べると塩辛いですが、調味料として使うとちょうどいいです。煮物の味付けにしてもいいですし、肉や魚に塗って焼くのもおすすめです。白身魚のお刺身にも合います。
カレー
カレーはスパイスが食欲を増進させてくれるので、暑い日にこそ食べていただきたい一品です。たんぱく質と野菜が同時に摂取できる利点もあります。
しかし、市販のルウには小麦粉や油が多く含まれているので、胃や腸の負担になってしまう方がいます。南インドカレー・スリランカカレー・スープカレー・スパイスカレーなどのサラッとしたカレーにするといいでしょう。
ご飯はジャポニカ種のアミロペクチンが多いうるち米ではなく、アミロースの多いパサパサなインディカ米やタイ米などの米をおすすめします。うるち米に比べると消化しやすく、体への負担が少ないからです。
※ジャポニカ種なら、高アミロース米の「ササニシキ」「ゆきひかり」「亀の尾」「さわのはな」などがおすすめ。
わざわざカレーライスを食べなくてもいいですね。スープにいくつかのスパイスを適当に入れて、カレー風味のスープを作れば調理の手間もかかりません。スパイスを使った肉料理や魚料理もおすすめです。
カレー粉、ガラムマサラ、クミン、カルダモン、クローブ、コリアンダー、ブラックペッパー、ナツメグなど
豆腐と卵を使った料理
暑い日は豆腐を冷奴で食べたくなると思いますが、料理をする余力がある時は調理することをおすすめします。
先ほどもご紹介したみそ汁やスープの他に、ゴーヤチャンプルー・肉豆腐・豆腐ステーキ・炒り豆腐などがおすすめです。
豆腐を購入する時は、天然のにがり(粗製海水塩化マグネシウム)を使っているものを意識して選んでみてください。大豆に含まれるカルシウムの吸収率がアップしやすいです。
豆乳がお好きな方は、にがりもセットで購入しておくといいですね。スープににがりと豆乳を入れると、簡単に手作り豆腐風スープが作れます。私は伊豆大島が好きなので、海の精『海精にがり』をストックしています。
卵は何にでも変身させられるので、調理が面倒な時に大活躍します。炒めた野菜を卵とじにしたりかきたま汁にしたりして、たっぷりと摂取しましょう。
どうしても調理をする気になれないという時は、卵かけご飯でもいいですね。流し込まない工夫としては、じゃこやぬか漬けといった食感のあるものをプラスするといいでしょう。
肉と魚を使った料理
食欲が出ない日は食べる気にならないかもしれませんが、少しでも食欲があるならしっかりと食べてください。
動物性たんぱく質は体を作るために重要な栄養素です。バーベキューや焼き肉をして、たっぷりとお肉料理を楽しみましょう(甘いタレと食べ過ぎには要注意)。
肉には疲労や食欲不振を解消するビタミンB群が豊富で、汗によって失われやすい鉄も補給できます。食べ過ぎに注意すれば、夏バテしにくい体を作ってくれます。
魚は青魚がおすすめですが、うなぎや穴子を食べるのもいいですね。特に、うなぎはビタミンAの含有量が多いので、体内の粘膜を守ってくれます。夏風邪の予防や胃腸の粘膜を強くするのに役立ちます。疲労感を取り除くのに必要なビタミンB群も多く含むので、お財布に余裕があれば積極的に食べたい食材です。
たんぱく質は体内で水分を作る優秀な栄養素なので、脱水症状の軽減にもつながります。水分補給だけではなく、たんぱく質摂取もしっかりと行いましょう。ただし、胃腸が弱い方は肉よりも魚や乾物(かつお節、いわし節など)でたんぱく質の補給をしてください。
夏バテに甘いものや冷たいものがNGの理由
食欲が落ちると「食べやすいもの」「飲みやすいもの」に走りやすいです。
- そうめん、冷やし中華などの冷たい麺類
- かき氷、シャーベット、アイスクリームなど
- パン
- 清涼飲料水(スポーツドリンクを含む)、冷たい飲み物(お酒も含む)
甘いもの(甘くない糖質も含む)というだけあって、糖質がたっぷりと含まれる食べ物や飲み物をたくさん摂取すると、ビタミンB群(特にビタミンB1)を大量に消費してしまいます。
体内のビタミンB群が不足すると食欲不振や疲労感を引き起こします。食欲が落ちれば、夏バテを予防するために摂取したいたんぱく質・ビタミン類・ミネラル類の摂取量が下がるため、体は常にだるい状態が続いてしまいます。
冷たいものは一時的に体を冷やす時には有効ですが、朝から晩まで摂取し続けると問題が生じます。体内を冷やし続けると、体温を保つために多くの血液が使われるので、消化に回すエネルギーが不足します。結果として食欲不振が起こり、夏バテを引き起こしてしまいます。
夏バテの予防・夏バテの解消をするためには、甘いもの・冷たいものはほどほどにしておきましょう。食事では必ず温かいものを摂取し、飲み物は常温または温かい飲み物を摂取する習慣を身に着けてください(カフェインや利尿作用が高い飲み物は常飲しないこと)。
この記事のまとめ
- 夏バテの予防・解消には、体作りのもとになるたんぱく質が必要である。温かい食べ物・酢の物・スパイスを取り入れながら、徐々に消化能力をアップさせる。
- 甘いものを大量摂取すると、エネルギーを作るのに必要なビタミンB群が無駄に消費される。ビタミンB群の不足は食欲不振や疲労感の原因になるので、食欲が落ちて夏バテが悪化しやすい。
- 冷たいものを大量摂取すると、体温維持のためにエネルギーが必要になり、消化エネルギーが不足する。消化能力が落ちると食欲不振に陥るため、夏バテを引き起こしてしまう。