このツアーが発表された時、「え〜! スタンディングがいい」なんて思ったアホな私をお許しください。そこにひれ伏して謝ります。
私にとっては過去イチ良かったライブでした。なんだろう? このロス感。「楽しかった」「素晴らしかった」では足りません。完全に光合成ロスに陥っています。
以下、ダラダラとしたライブの感想です。
光合成ツアーの感想
↑よい略し方が分からず、勝手に命名(笑)。
今回のアルバム『労働なんかしないで 光合成だけで生きたい』はキーボードに頼らず作られています。その分、ホーンセクションが光る!
キーボードが入れば入ったでカッコいいのがスガファンクですが、キーボードレスであっても深みがあってしっかりとカッコいいのがスガファンク。そんな風に思えたツアーでした。
Fire Hornsが奏でる『夜空ノムコウ』で始まったライブ。鳥肌モノでした。後にメンバーとシカオちゃんがステージに現れてゾクゾクゾクッと。
このツアー用に作られた衣装に身をまとっているから、みんながカッコいい。マヤさんの衣装もセクシーでカワイイ。ホールツアーならではの楽しみ方かもしれませんね。
お客様は総立ちで『労働なんかしないで光合成だけで生きたい』から全速力(どうやら初めましての方が多かったらしいです)。
ツアーが始まる前から、今回のメンバーだからこそできるセトリであることはアナウンスされていました。「何が入るの?」と楽しみにしていました。
「おお〜っ!」と興奮してしまったのが2曲目の『バナナの国の黄色い戦争』です。イヤホンで聴く時は特別に好きな曲ではないのですが、生で聴くと最高に盛り上がる曲なんですよね。いつぶりですか?
※Next Round Tour 2014 以来。
『労働なんかしないで光合成だけで生きたい』と『遠い夜明け』に挟まれた『バナナの国の黄色い戦争』。11年前の曲なのに全然古くない! すごくいいアクセントでした。
『あなたひとりだけ 幸せになることは 許されないのよ』『おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった』はスガシカオの真骨頂。ただ単にカッコいいファンクではなく、人間臭さが漂ってくる曲の一部です。
以前に「スガ氏の歌詞にはニオイがあります」と書いたことがあります。誰の心にも湧いてくるドロドロとした汚い感情をファンクのリズムに乗せるから、「こういう感情をネガティブと捉えなくていいんだな」と思わせてくれます。
「ニオイ」については鹿野さんがすてきな表現をしていました。
大衆音楽はもとより、ロックも大衆へのカウンターという意味で大衆音楽だが(この国のロックの一部にも当てはまる)、ファンクミュージックは「大衆音楽」ではなく「体臭音楽」である。
— 鹿野 淳 (@sikappe) June 23, 2019
そのことを今回のスガシカオのアルバムとツアーは極めていて、彼のラジカルな体臭音楽を本当に楽しめる。最高だ。
体臭音楽を極めたアルバムとツアー。私の稚拙な文章では決して表現できない褒め言葉です。
ファンクゾーンでは、今やスタンディングライブでは鉄板になっている『91時91分』が非常に良かったです。もともとはホーンセクションが際立つこの曲。バンドメンバーだけでの演奏も楽しめるのですが、奥行きが出てバンドスタイルより気持ちがたかぶりました。
イヤホン越しで聴くと、どこかの時代にタイムスリップする『スターマイン』。ライブだとどんな感じになるのだろうかと楽しみにしていました。
広い会場だし、私の好きな「ドウン」は奇麗に聞こえないだろうと思っていたのですが、そんな心配は無用でした。ちゃんと花火! 花火が会場に咲きました。
リクエストコーナーは安定の3曲。ずっとInstagramで様子を見ていましたが、初参加が多い会場は『月とナイフ』の人気が高かったように思います(メルマガによると『アシンメトリー』が最も多かったです)。
『月とナイフ』や『愛について』はアコースティックの想像がつくから、個人的には『ヒットチャートをかけぬけろ』を聴いてみたくてこれに投票しました(かなわず)。
でも、『月とナイフ』と『愛について』が想像以上に良かった!涙モノでした。特に『月とナイフ』ではDuranさんのギターがさえ渡っていました。
ライブ前から1カ月にわたって禁欲していたスガオンリーのプレイリスト。ライブ直後から解禁し、あらためて聴いたら『赤い実』『イジメテミタイ』に入れればよかったと後悔しました。この2曲のアコースティックバージョンはレアなので。
『ヒットチャートをかけぬけろ』が上位3曲に入っていない投票結果を見たシカオちゃんが「デビューしなくてもよかったんじゃないか?」なんて仰っておりましたが、デビューしてくださってよかったのです。老後の楽しみがなくなるから(笑)。
前後しますが、私にとっての号泣ポイントは『黄昏ギター』『深夜、国道沿いにて』『アストライド』でした。多くは語りません。ジーンと心の奥底に響いてきてしまいました(シカオちゃんの声が心地よいせいもあるかな)。
『深夜、国道沿いにて』前のトーク。各地で違ったようですが、東京1日目では親への反抗期について語られました。
母親(ヤグルトさん)に対しては思春期の反抗が強かった。バイトでためたお金で購入したギターを連日朝まで練習していたら、母親に隠されて「○すぞ、ク○ババア」と言おうと思ったが、これ以上の言葉はないかと思って探してみた。しかし、これを上回る言い方が思いつかず、「○すぞ、クソ○バア」と言ってやった。一方、父親に対しては反抗がなかった。小学生の頃に戦いごっこをしていて、押し入れの中からドロップキックをかましたら、親父は1週間も仕事を休む羽目になった。今考えると、大の大人が1週間も仕事を休むってひどいけがだったんだなと。その時に「ああ、もう俺は親父より強いんだな」と悟り、なぜか反抗の気持ちは湧かなかった。そんなことを描いた歌も作ったんですけど(『雨ノチ晴レ』)。もし、イタコみたいな人を通じて父親と話せるなら、話したいことはいろいろあるが、あの時のことを謝りたい。
MCより
こんな感じのことを仰っていました。
親に対しての「ありがとう」「ごめんなさい」は、(子供としての甘えなのか)なんとなく理解してくれてるだろうなどと思う節があり、言える時に言っておかないと後悔する日が唐突にやって来るのだと悟った昨年。
親と折り合いがつかない人もたくさんいると思います。私も父親に対してはそんな感じだったのですが、いざ他界されると「血は争えない」と思うことがこの何カ月かで襲ってきました。
そんな数カ月を洗い流してくれた『深夜、国道沿いにて』。大嫌いな父だったし、何度も「○ねよ」と思うことも多かったのに、心の底から嫌いだったわけじゃないなと再確認できたのでした。
そう考えると、虐待を受けていた子や親に見放された子が、いつまでも親の呪縛から解かれないことはすごく理解できる。だから苦しむ。毒親に育てられた子も。他人は「そんな親、縁を切っちゃえ」と簡単に言うが、それだけ親子関係って難しいのだ。
ここまで書いたらあとに続く言葉が見つからなくなってしまいました(笑)。
『コノユビトマレ』のベース音が流れた時、「あ〜、終わっちゃう。終わっちゃうよ〜。早いよ〜!」と心の中で感じたスガマニアは私ひとりだけではないでしょう。
物足りないわけでもなく、セトリが悪かったわけでもなく、なんだか一曲一曲に入魂しているうちに時間が過ぎ去っていたという……。
アンコールは3曲。私にとってはいまだにハマれない『マッシュポテト& ハッシュポテト』からのスタートで、想像をはるかに超えて盛り上がっていた気がします。生の良さ、ここにあり。
アンコールの最後は待ちに待った『ドキュメント2019』。「東京だし、Dさん来るだろうなあ」くらいに思っていたら、ラップパートはなんと、とっちさん!
#スガシカオ#労働なんかしないで光合成だけで生きたい
— とっち(FIRE HORNS) (@toshibones) June 30, 2019
このツアーの思い出といえば、令和最初にして最大のムチャぶり。
ドキュメント2019でMummy-Dさんのラップパートをやらせて頂きました。
いろいろお聞き苦しい点もあったかと思いますが、精一杯やらせていただきました。 pic.twitter.com/ot90STgde9
どうやらムチャぶりだったようですね(笑)。いや、思いの外、カッコよかったです。
シカオちゃんの単独ツアーは約10年ぶりの元同僚と行ったので、帰りはちょっと濃い話なんかもして充実した1日でした。
ホールツアーならではのライティング、衣装、構成。どれをとっても素晴らしく、スタンディングじゃなくても熱くなれるスガファンクという唯一無二のジャンル。ロックフェスでもファンク。22年間ひとりファンク。
万人受けする曲で人の心を惹きつけておいて、ゴリゴリのスガファンク(独特の歌詞とさまざまなジャンルをミックスさせたファンク)で沼にハマらせる。アリ地獄のような強力な武器を持っているのがスガ氏の魅力だと思っています。
興奮が冷めないので、夜中の2時まで二度目の答え合わせを。あらためて『労働なんかしないで光合成だけで生きたい』の深い意味にうなずいたり、後半にある鹿野さんと谷岡さんの勝手な解釈に笑ったり。
購入した人だけがニタニタできるパンフなのでネタバレは避けますが、「ああ、なんやかんや心の中で文句つけながら(笑)、スガマニアをやってて良かったよ」と思えた夜でした。
スガシカオが歌い続ける限り、私もまだまだ生きるぞと思った次第です(Duran氏に言っていた「おまえ、伝説のギタリストみたいに死ぬなよ。健康を大切にしろよ」にはグッと来た)。
※Instagramにも書いたのですが、サコッシュはもう作らなくていいので(笑)、イヤープロテクターを作ってください!
スガシカオツアー2019のセットリスト
ツアー前半では『真夜中の虹』が入っていて、『コノユビトマレ』がなかったのですね!
二度と聴けないと思うと本当に寂しいです(WOWOWでの放送はあり)。しかし、今後はバンド編成でどんなアレンジをしていくのかという楽しみも生まれました。
Funk Fireツアー、そろそろやってください!
- 労働なんかしないで光合成だけで生きたい
- バナナの国の黄色い戦争
- 遠い夜明け
- あなたひとりだけ 幸せになることは 許されないのよ
- おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった
- スターマイン
- 黄昏ギター
- Progress
- 愛について(リクエスト)
- 月とナイフ(リクエスト)
- アシンメトリー(リクエスト)
- am 5:00
- 黄金の月
- ひとりごと
- 深夜、国道沿いにて
- あんなこと、男の人みんなしたりするの?
- 正義の味方
- 91時91分
- アストライド
- Re:you
- コノユビトマレ
<アンコール>
- マッシュポテト&ハッシュポテト
- 俺たちファンクファイヤー
- ドキュメント2019 feat.Tocchi(Fire Horns)