天井カリカリラプソディとは、約2カ月に渡って天井裏に帰ってくるようになった一匹のネズミとの戦いの記録である。
ネズミは屋根裏や天井裏で何してる?
あれは忘れもしない10月30日の0時過ぎのことだ。その日は推しの一人であるスガシカオさんのアルバム『Acoustic Soul 2014-2024』の発売日で、0時にはサブスクで配信開始となった。
0時を超えて、曲を楽しんでいた時のことだ。1階と2階の間でカリカリと音が響き始めた。カリカリ音について調べてみると、どうやらネズミが木をかじっている(歯を研いでる?)音のようだ。
どこから侵入したのかは分からない。カリカリカリカリと音だけが響いていて不気味だが、入ってしまったものは仕方がない。ひとまずは驚かすことにした。
天井をたたくというアナログな方法で驚かしても、ずっとカリカリカリカリ。諦めて眠ることにしたが、気持ちが悪くてあまり眠れなかった。しかし、この日以降は侵入してこなかった。
居付いてしまったら困るので駆除することも考えたが、とりあえずは一件落着といったところだった。
ネズミを追い出す作戦は失敗に終わる
どこかに行ったと思われるネズミが戻ってきたのは12月に入ってからだ。気温も下がってきて寒くなったのだろう。再びカリカリラプソディが始まったのだ。時々、何かを転がして遊んでいるような音もした。
ネズミがいろいろな被害をもたらすことは知っているが、顔がかわいいので殺したくないというのが本音である。できることならわが家から離れていただいて、外で生活してほしいと願った。
最初に試したのは忌避剤の利用である。ネズミが嫌うというハーブの香りがたっぷりの忌避ゲルを置いた。
念には念をで、定期的にスプレーをシュッと噴射した。
しかし、ニオイはすぐに慣れてしまうのか、すぐに戻ってきてしまうのだ。その後、YouTubeにあるネズミの嫌う音をひたすら流した。一時的に静かになるものの、すぐに慣れてしまうのか「ただいま」と帰ってくる。
仕方がないので、ネズミの嫌う超音波を発生させる機械も購入した。
こちらも慣れてしまうのか、まるで「帰ってきたよ〜」と言わんばかりに戻ってくる。そのうちに情が湧いてしまい、「早く出ていけよ〜」と話しかけるくらいになってしまった。
いかんいかん。家を守る優先順位のほうが高い。ネズミをかわいいなどと思ってはいけない。ネズミに対して感情移入などしてはいけない。かなりの葛藤が起こった。
害虫・害獣駆除のプロに任せることにした
自分で駆除をするのが嫌なので、役所の方に教えていただいた駆除の業者に電話してみた。まずは侵入口になりそうな場所にネズミ粘着シートを設置してみてほしいと言われた。それでも効果がない場合はもう一度電話をしてくださいとのことだった。
かわいさ故に自分で駆除をしたくないのに、なんてことだ! しかし、ここは心を鬼にしてやるしかない。
プロも使用するという粘着シートを購入し、入り口になりそうな場所と歩きそうな場所に設置してみた。
設置した日の夜、いつもなら「ただいま」と帰ってくる時間にかかっていた。粘着シートに殺鼠能力はないので、ずっともがいているのが見えた。いたたまれない気持ちになったが、グッと我慢をした。翌日は可燃ごみの日だったので、ある意味ではホッとした。
暗がりで捕獲するのは怖いので、ごみを出す時にもう一枚のシートを被せようと思っていた。その考えが甘かった。
本来なら逃げられないはずなのだが、もがきにもがいて逃げたようだった。それならそれでいい。別の場所で生きてくれるならそれでいい。元気に生きていけよとさえ思った。
ところが、もがき苦しんだ後に力が尽きたのだろう。下に落ちて亡くなっていた。駆除をするためにシートを設置したのだが、小さな命のその姿に涙があふれて出てしまった。
新聞紙にくるみ、落ち葉が入った袋に入れ、ごみと一緒に出した。思わず手を合わせてしまった。
猫や犬なら保護されるのに、ネズミだとこの対応だ。同じ哺乳類なのに、人間とはひどい生きものだとあらためて思う。ごめんよ、ネズミ。