- 農薬は危険って聞きました(誰に?)
- 無農薬野菜は高いから家計がひっ迫します(家族が多ければそうですね)
- 農薬はアレルギーや発がん性が心配だから野菜や果物はなかなか買えません(そうですか!)
野菜に限ったことではないですが、健康情報を読み過ぎたり健康系セミナーに通ったりしているクライアント様から言われることがあります。
はっきり申し上げますと、あんまり意味のない心配なので、食事から栄養を摂取したいなら普通に食べてください。怖いなら食べなければいいです(ストレスを感じるなら毒でしかないので)。
無農薬野菜にも農薬野菜にも危険性はつきもの
無農薬野菜の危険性
無農薬で野菜を育てるということは、かなり良い条件がそろわないと作れません。無農薬で育てている農家さんは相当勉強されていることでしょう。
無農薬でも病気に侵されない野菜や果物が作れるのは、植物が出す天然農薬のおかげです。これは人間でいえば免疫みたいなもので、農薬よりも毒性が高いファイトアレキシン(食用農薬)や感染特異的タンパク質を指します。菌や害虫から身を守らないと種の保存ができないので、どんな植物にも備わっています。
これらはアレルギー源となったり発がん性物質となったり、時には人の命を奪ってしまうほどの毒性を持っていることもあります。
ただし、本当にこだわっている農家さんなら、虫がつかないように病気にならないように手間を掛けているので毒性は低いはずです。また、私たちが口にする野菜や果物は、人にとって毒性が低いものが食材として扱われているのでそんなに恐れることはありません。
農家さんがどうにもできない危険性があるとするならば、災害による土壌汚染や空気汚染などです。どんなに良い土壌を育てても、おいしい水を使って育てても、空気が奇麗な場所で育てても、人間の努力だけでは力が及ばないこともあります。
農薬野菜の危険性
よく言われるのが農薬によるアレルギー・がん・精神疾患・発達障害などです。しかし、これらは全ての人に起こるとは限りません。
農薬は人の体に必要がない薬であることは間違いありません。これが原因で病気や何らかの障害を受ける人もいるでしょう(論文もあります)。
しかし、直接のばく露と残留農薬によるばく露では意味が違うので、農薬を使った野菜や果物が危険というのはあまりにも薄っぺらい考え方です。
70歳くらいまで大きな病気をしたこともない人ががんを発症したとして、「農薬野菜を食べ続けたからだ」と考える人はいないでしょう。大抵の場合は他に原因があります。若い時に発症しても同じです。
発達障害や精神疾患が増えたと言われますが、発達障害だと思われる子どもは昔からいたわけです。こういう呼び方も知識もなかっただけで、私が小学生だった30数年前にもクラスに数名はいました。精神疾患も同じで、インターネットの発達で見える化しただけです。
農薬の本当の危険性は、土壌や水を汚染したり扱う人や周辺の人が吸い込んだりすることによるリスクでしょう。改良されて害が少なくなってきたとはいえ、ばく露量が多ければ健康被害を被ることは避けられません。
無農薬論者も農薬論者も信じることなかれ
信じてはいけない理由がこちらです。
どちらかに偏った考えは勉強不足か、単にあおりたいだけなので信じてはいけません。
野菜や果物を育てるための本当の問題は、全ての地域で無農薬栽培をするのは難しいということです。日本は全体的に湿度の高い島国なので、無農薬栽培だけで全国民の野菜や果物を賄うことができません。そうなると農薬やその他の手段に頼らざるを得なくなります。
近年の温暖化による豪雨災害の多さを考えてみれば、自然の力による土壌や水質の汚染は今後も頻繁に起こるでしょう。空気が奇麗な地域であっても、何かの原因で都心部と同じかそれ以上に汚染されるかもしれません。
人間の力が及ばないところで作ることが難しくなった時、農薬を使って育てられた食材を選ばなければいけなくなることもあります。農薬を否定ばかりしていると、自分の心を苦しめることにもなりかねません。
どちらかが悪いという極端な考えの向こうには必ずお金が絡んでいるので、自分が何を選びたいのかが最も大切です。
栄養摂取のチャンスをたくさん持っておこう
私の住む地域では、毎日のように農家さんが朝採れの無農薬野菜・果物を販売しに来てくださいます。当日中に味わいたいと思う時や、旬の野菜・スーパーでは並ばない野菜がある時は好んで購入します。
購入するのは美味しいという理由だけです。安全かどうかはあまり考えていません(どうやって安全を測るのかも知りません)。「食べたいから購入する」「美味しい食べ方を知りたいから購入する」といった感じです。
スーパーでも野菜や果物は購入します。理由は「いつでも手軽に旬もの以外も購入できる」からです。
どちらを購入するにしてもリスクはつきものだし、あまり深くは考えていません。それよりも栄養を摂取するチャンスを逃す方が体にとっては毒だと考えます。考え過ぎて食べられなくなるのだけは避けたいことです。
地震や豪雨で避難生活を強いられた時に「これは食べられません」などということがないように、どんな食品からも栄養を吸収できる体を作っておくことが本当の健康ではないでしょうか。
これを言ったらおしまいですが、人も車も多い都心部に住んでいるならば、無農薬野菜にこだわる意味はほとんどありません。そこに住んでいるだけで病気のリスクは高くなるので、食べられるものを食べて栄養を確保して健康を保つ方が賢い生き方です。
この記事のまとめ
- 無農薬野菜にも農薬野菜にも危険性はつきもので、どちらが良いか悪いかはひと言で言い表せるものではない。
- 無農薬と農薬のどちらかに偏った考えの情報は信じるべきではなく、どちらにもリスクはあると考えて自分自身が何を選びたいかが大切である。
- 考え過ぎて食べられなくなるのは避けたいので、現状で手に入れやすいものを使って少しでも栄養摂取のチャンスを逃さないことが大切である。