生命活動を温存するため、植物は成長を休めて、動物は活動量を減らす冬。人間もある器官が弱ると気力や体力が衰える季節です。他の季節では落ち着いていた体の不調が出やすい季節でもあります。
冬の不調を感じやすい方が少しでも楽になるための食事術をご紹介します。
冬の体調不良におすすめの食材
冬に起こりやすい不調
日が短くなり、気温の低下とともに体内の冷えを感じやすいのが冬です。エネルギーが枯渇して、人によっては生命の維持活動が危うくなることもあるので、食事や睡眠などの生活習慣をいつも以上に整えるのが冬を乗り越える秘訣でもあります。
特に不調が出やすいのは腎が弱い方です。もともとエネルギー不足で元気ややる気が衰えている方は、精力を補う食材に注目してください。
これらをコントロールするかん味(塩辛い味)を多く含む食材が冬に出回るので、上手に生かして下記のような不調を緩和しましょう。
- 冷え性
- むくみ
- 体の痛み(腰痛、神経痛、関節痛など)
- 耳鳴り
- 膀胱炎(ぼうこうえん)
- 下痢
- 風邪
- 季節性のうつ状態
など
かん味(塩辛い味)のある食材は体を温める作用が強い上に、固いものを柔らかくするという性質も持っています。寒さから身を守り、便通を良くして余分な水分を排出するのに適している食材が多いです。
陰陽五行論では黒の食材が腎を補うとされているので、上記のような不調が現れやすい方は積極的に食べるようにするといいでしょう。
冬の旬食材
りんご、みかん、ゆず、きんかん、いよかん、オレンジ、レモン、キウイ(国産)など
ごぼう、小松菜、フキノトウなど
白菜、春菊(甘辛味)、ブロッコリー、カリフラワー、冬キャベツ、ほうれん草、セリ、セロリ、にんじん、レンコン、まいたけ、落花生など
里芋、大根、ねぎ、野沢菜、春菊(甘辛味)など
イワシ、ノリ、ワカメ、ひじき、アサリ、昆布、カキ、しじみなど
冬食材の選び方と簡単レシピ
かん味には苦味を組み合わせるとバランスが取れます。また、内臓を冷やさないように、寒涼性の食材は温性の食材やスパイスと合わせて摂取することをおすすめします。
カキ(牡蠣)と小松菜のスパイスガーリック炒め
かん味・苦味・辛味の掛け合わせです。
カキは気が滞りやすくて不安感・不眠・イライラ・などがある方に向いています。ミネラルやビタミンが豊富なので、病後・産後の回復期には積極的に食べていただきたい食材です。
カキが苦手な方はアサリで代用するといいでしょう。スパイスを使用しているため、食欲もそそってくれます。
レモンを絞ると亜鉛の吸収が高まり、酸味も一緒に摂取できます。
ほうれん草の黒ごま和え
甘味・かん味の掛け合わせです。
腎機能の低下によって余分な水分を排出できず、むくみや便秘で悩まされている方におすすめです。
味付けに使用するしょう油やみそがかん味に当たりますが、少量しか使用しないのでノリを散らしてもいいでしょう。
黒豆の煮物
甘味・かん味の掛け合わせです。
おせち料理には欠かせない煮豆で、作るのに時間はかかりますが、調理道具を工夫すれば誰でも簡単に作れます。黒豆は胃・ひ臓が弱っている方やむくみやすい方に適した食材です。
砂糖をたっぷりと使用するので、こまめに少しずつ食べると効果的です。作るのが大変な方は市販の黒豆煮を購入してください。
黒豆煮の甘さが苦手な方は、「黒豆ご飯」にしていただくのがおすすめです。抗酸化作用があるアントシアニンを含む煮汁も一緒に摂取できます。
この記事のまとめ
- 冬は腎の弱い方がトラブルを起こしやすい季節。腎の機能が弱く、普段からエネルギー不足を感じていて、元気ややる気が衰えている方は注意が必要である。かん味を多く含む食材をうまく活用するとよい。甘味・苦味を含む旬食材も活用して、体内でのバランスを保つことが重要。
- 冬に起こりやすい不調に合わせたレシピをご紹介。不安感・不眠・イライラにおすすめの「カキと小松菜のスパイスガーリック炒め」、むくみ・便秘で悩まされている方におすすめの「ほうれん草の黒ごま和え」、ひ臓・胃が弱っている方やむくみやすい方におすすめの「黒豆の煮物(または黒豆ご飯)」。